看護師の給与水準の実情を知る

看護師の平均年収に関しては、平成29年度の人事院による統計で525万円という数字が出ている。サラリーマンの平均収入が400万円程度と考えれば、かなり高い水準だろう。女性が多くを占める職種では、トップクラスの水準といっても過言ではない。さて、この平均年収の数字だけを見れば看護師の給与は高いといえるのだが、それだけで判断してしまうのは難しい面もある。看護師の給与における最大の問題点は、大変な仕事内容に見合った収入を得ているかどうかにつきるだろう。いくら平均年収の水準が高いとしても、大変な仕事に見合わない収入では看護師の給与は安いという評価につながってしまうわけだ。

まず、平均年収の水準を鵜呑みにすることはできない。その理由は、看護師は年齢を重ねていくにつれてキャリアに大きな差が出てくるからだ。20代後半~30代で結婚・出産を機に離職するケースが多く、一旦キャリアをストップさせた看護師と、継続してキャリアを重ねた看護師では給与水準にも差が出てくる。就業環境の問題で転職を繰り返している場合も、給与はなかなかアップしない。そのため、この525万円という平均年収の背後には、順調にキャリアを積んで平均以上の収入を得ている看護師と、大変な仕事を頑張っているのになかなかキャリアアップや昇給を果たせず、収入が頭打ちになっている看護師との格差が潜んでいるのだ。それだけに、就職や転職活動においては長く働き続けることができるか、キャリアアップが期待できる環境かを意識した仕事探しが求められる。